ドレスデン国立歌劇場「ばらの騎士」「サロメ」

今年最大のお耳の贅沢、ドレスデン国立歌劇場「ばらの騎士(11/23)」「サロメ(11/24)」鑑賞してまいりました!

ばらの騎士」はゾフィー役が苦手な歌手なのと、指揮者も交代(私的にはアップグレード交代だからOK)、直前に主役交代(彼女のための演出いう前宣伝だったから、これは「エ!」)・・かなーーーーり不安な状態で行ったのですが、もうこれが最高!でした。マルシャリンのアンネ・シュヴァンツヴィルムス、代役とは思えない素晴らしい歌唱と演技。この人、タンホイザーのエリーザベトで来日したのに急遽マルシャリンもですよ。声楽的にも全然タイプが違う役だし、純真な乙女と酸いも甘いも知り尽くした女、両方すぐに準備できるなんてなんて歌手なんでしょう。オックスをやったクルト・リドルの名人芸ともいうべきエロオヤジキャラも最高でした。オクタヴィアンは新国のツィトコーワと比較してしまうと見た目と演技は「ああ・・・」って感じですが、3幕のマリアンデルでの歌い崩した歌唱が最高。ゾフィーは・・・本当にとても健闘していたと思うし、今まで見た彼女の中で一番好きなパフォーマンスだった。けれど、演技が・・・なんであれ?何か動きがカクカクしてて、ものすごく頭の貧しい女の子に見えちゃって、あのマルシャリンから恋人をぶんどる魅力はなし。歌手って歌だけじゃだめなんだぁ。。ホントに難しいね。それから脇を固めるアンサンブルの人たちの層の厚さ、生き生きとした演技、これぞ「ばら」って感じでした。そしてあの3幕のワルツの華やかさと言ったら・・・・ ファビオ・ルイジ最高。

サロメ」前日の華やか・軽やかな世界から一変、緊張と緊迫の張り詰めたオペラでした。「ばら」はとても聴きやすい音楽なんだけれど、サロメは、モワモワ・ゴウゴウ・ピッキーン、ありとあらゆる劇的要素を盛り込んだ音楽。同じR・シュトラウスなのに全く違う世界を体験してきました。このサロメは舞台がものすごい傾斜で(多分歌手側からしたら絶壁だと思う)そこを走ったり転がったり、もう見ているほうもハラハラしました。しかしこの舞台、全てが最高としかいえない素晴らしい出来。特にサロメのカミッラ・ニールント、この人新国でマルシャリンをやった人でとっても細い美声なのです。決してパワフルなタイプではないと思っていたのですが・・・ でもオケに全然負けない!素晴らしかったです。ヘロデ王のヴォルフガング・シュミット、ヨカナーンのアラン・タイタスを食ってしまうくらいの存在感でした。アラン・タイタスはいわずもがな、私の大好きな歌手ですが、今回のヨカナーンは演出上いろんなもので縛られ、最後ヘロディアスのストッキングで猿ぐつわというやられたい放題でした。カワイソ〜 そしてヘロディアスのガブリエレ・シュナウトの凄さといったら。「三輪様?」って感じでした 笑。 声もたっぷりで、この人のサロメも見たい!と思いました。とにかく最高のキャスティングに酔いしれてしまいました。

・・・なんだかんだ高いオペラなだけありました。質の高いプロダクション、堪能させていただきました。


【公演詳細】http://www.japanarts.co.jp/html/dresden2007/index.htm