新国「タンホイザー」

SpectredelaRose2007-10-08

新シーズンの初日公演に行ってきました。それにしては少しあっさりな感じ?赤絨毯は引かれていたけれども、何かホワイエでイベントくらいあってもいいんじゃないかなぁと思ったりして。。。

タンホイザーは官能と純愛のはざまを揺れ動く騎士の話なんですけど、今日の主役は、ちとしょぼくれた舞台姿や、ヘルデンテノールらしくない歌いまわしから(品がない)、ぶっちゃけ「アル中のホームレス」。エルマンノ・オルミの映画「聖なる酔っ払いの伝説」とイメージがだぶりました。ですから、官能の女神も清純な乙女も忠実な友もぜ〜〜んぶ夢。死ぬ前に見た幻想ですから!!と解釈するに至ってしまったプロダクションです。

タンホイザーは版がいろいろあるらしく(不勉強な私はよく分かりませんが)今日は前奏曲に続いてのバレエパートがよかったです。群舞のダンサーの衣装がすごくセクシーで(DJなんとかの比じゃないし)「日本でやってもいいのかな」と思ったのですが、演出もこれまたなかなかセクシー。しかし愛もエロスも何〜もないクールな演技でつまんないと思っていたところ、その後出てきたソリストのパ・ド・ドゥが超ロマンティックでとても素敵でした。この対比が狙いだったんでしょう。

舞台は青ざめた無彩色、メタリックの大きな支柱が適宜移動したりするくらいのシンプルなものでしたが、それが鏡のようなスクリーンになったり、時折ステンドグラスのモティーフが出て来たり、鮮やかな照明を映したり、私はとても好みでした。

今日の指揮はフィリップ・オーギャン、すっごく「こなれた」ワーグナーで、きれいでしたぁ〜!ほわっと包み込むようなオケがとっても素敵でした。ほんと、4時間だろうと5時間だろうと、いつまでも聴いていたい感じです。

で、歌手陣ですが・・・・
ヴォルフラムのマーティン・ガントナー、この人、本当に好きです。マイスタージンガー、ドンカルロですっかりファンになってしまったけど、もうこの人が出てくると安心しちゃうっていうか。いつまでもずーっと耳を傾けていたい歌手です。彼の歌曲も聴いてみたいなぁ。きっと良いんだろうなぁ〜
そして、エリーザベトのリカルダ・メルベス。ほんっと上手すぎ。素晴らしすぎ。尋常でない説得力で訴えかけて来るんですね。ああ、いいもの聴いたなぁ〜とたっぷり感動。この人も大好きなソプラノです。
主役のアルベルト・ボンネマは代役というのもあってか、出だしは不調な感じでした。「ヤダなー、これで4時間・・・」と思っていたのですが、だんだん後に行くほどよかったです。ただ、彼のアーティキュレーションが私のイメージするワーグナーと違っていて、ヴェルディとか「ホフマン」とか、そういうので聴いて見たいと思いました。
でも、やっぱり良かったのは合唱です。特に荘厳な男性合唱、これもずっと聴いていたい〜と思いました。

今日のキーワードは「ずーっと聴いていたい」、ですね(^^)

【公演詳細】
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000007.html#date