誰も知らない

とうとう見てしまいました・・・。今までビデオ屋の棚で見かけても見なかったことにしていたのに。どういう訳か見たい気分になってしまったんですね、今日に限って。YOU演じるどうしようもない母親が子供達を見捨てる話ですが、そのどうしようもなさが破格なので、子供たちも母親に大して期待していないのです。子供だけの生活が始まるのですが、母親がいなくても恋しがったりすることがないんですよね。しかしまあ、ちょっとその母恋しさが感じられるところもあり、胸がきゅーんとなるのですが・・・(涙)ある時、柳楽優弥演じるアキラ少年が母とのつながりがきれた、と感じる場面がありますが、そこは母に捨てられたというよりむしろ「子供が母を完全に見限った」という感じがしました。そこからのアキラ君の目は更に鋭さを増していきますが、他の普通の子達はほんとに緩んだ表情をしています。・・・私もそうなんだけどね。
あの一番下の子が死んでしまって埋葬に行くところ・・・やっぱり「ほたるの墓」ですよねぇ・・・せつこじゃなくてゆきちゃん。サクマドロップじゃなくてアポロチョコ。いけない、これはもう二度と見られないわ(T_T)
周りの大人はなんとかしてよ、コンビニの残り弁当あげるばかりじゃなくて・・・と思いましたが、実際あれくらいしかしてあげられないのかな・・・。昔々、日本人が皆貧しかった頃はもしかしたらああいう子を引き取って育ててあげよう、なんていう人がいたかもしれませんが、今は期待できないでしょう。モノやお金がない状況のほうがお互い支えあおうという気持ちがあるというか、他人の痛みが分かるのかもしれません。かくいう私だって、近所にそういう子がいたら、きっとすっごく可哀想で情が移ったりするかもしれませんが、結局しかるべきところに連絡するくらいのことしかできないと思います。少しばかり豊かさのために保身に走ってしまうのが情けないです。
そんな可哀想な話ではあるんですが、不思議とそこまで救いの無さを感じない映画ではありました。ゴンチチのインストの音楽が静かで温かみがあり、悲惨さを和らげてくれたのかも。
これ見てしまったら、エアコンつけるのもなんだか気が引けてしまうわ。