N響コンサートwithフェルツマン

2005年4月20日 サントリーホール 19時開演

フェルツマンはロシア出身でアメリカ中心に活躍している、どういう訳か日本では「知る人ぞ知る」ピアニストです。2年ほど前、台湾に旅行した時にキーロフ・オケ+ゲルギエフのコンサートでフェルツマンのチャイコンを聴きました。もちろん名前も演奏を聴いたのも初めてでしたが、その時にすっかり惚れてしまいました。演奏はもちろんのこと、ルックスも素敵なんです。50歳を超えていても若く見える人で、マッチョでちょっとブルース・ウィリス系。クラシックの演奏家というよりはジャズ・ミュージシャン的。
中国語でピアノは「鋼琴」と書くようなのですが、その時の演奏はまさにその表現がピッタリのパワフルさ!ピアノを弾く前に両手でググッとピアノを引っぱってたのが印象でした。ちゃんと固定されてるか確かめていたんですかね。またその時はベーゼンドルファーのピアノを使用していて、さらに彼の硬派な音色が強調され、もう素晴らしいのなんのって・・・。あの良く鳴るので有名なキーロフの向こうを張って真っ向勝負のチャイコンという感じでした。でも彼の音色はとても硬質でクリアなので、是非ドイツものが聴きたいと思っていたところでした。でもなかなか来日する機会がない人なんですよ(涙)。今回も16年ぶりですって。
で、今日の「皇帝」・・・目も耳もハートになってしまいました。今日はスタインウェイ使用のせいか、硬質・クリアな音色に明るさが加わり、早春にふさわしい爽やかな皇帝。一つ一つの音がぼけずにクリアで、それでいて豊かに歌ってて、うーん、なんとも説明できない・・。しかしある部分で「トロイカ」のイメージが浮かんできてしまったのはPrejudiceですかね。弾き方はちょっとキザで、顔の表情も派手だし、時折立ち上がらんばかりのオーバーアクションしたりする人です。だがしかし決してそのキザさが決まらない、お茶目さと素朴さが滲んでしまうオジサンなのですが、演奏自体は超硬派で超緻密、よーく音のバランスが計量されている、すっっっごいテクニシャンだと思います。あんな風には弾けませんよ〜・・・いやはや本っ当に素晴らしかったです!!アンコールにシューマン/リスト編「献呈」を披露して下さいましたが、自然な歌のさざなみに身を任せているうちに思わず涙が・・・。
後半の「英雄の生涯」、なんかアメリカのオケを聴いているような気分になってしまいました。N響ってこんなパワフルだったっけ?指揮者がアンドリュー・リットンというアメリカで活躍している指揮者なので、これもPrejudiceなのかもしれませんが・・・?とっても溌剌とした迫力ある演奏でした。すんごく良かったんですけど・・・ああ、また感想が偏ってしまった・・・