アビエイター

ご存知、レオ様とスコセッシ監督がオスカーを逃して有名になった作品です。何を隠そう私はレオファン・・・(ライオンズじゃありませんよ。しかし、元ファンというべきかも?)長い映画だと聞いていて心配してましたが、上映時間2時間50分しかも22:30からのレイトショーでも全然平気でした。
映画は1920〜40年代のハリウッド、映画全盛期の華やかな時代に莫大な親の遺産を受け継いだ若き実業家、ハワード・ヒューズ氏という実在の人物の物語です。ハリウッドの美人女優とたくさんの浮名を流し、まさに時代の寵児だったヒューズ氏は、華やかな顔の裏で情緒不安定・パラノイア潔癖症と様々な心の病に蝕まれていました。ストーリーはそのヒューズ氏の精神崩壊を中心に描いていて、レオの迫真の演技が胸を打ちます。
この映画はレオ自身が企画した映画で、全てを投げ打ってこの映画に賭けた意気込みが感じられます。映画の中で、飛行機開発の為ならば全財産を抵当に入れて資金を調達しろ!という頑固一徹なヒューズ氏がレオと重なって仕方ありませんでした。ヒューズ氏の飛行機への情熱はとどまる所を知りません。そんな無鉄砲な殿様の、無茶な要求に全力で応えるスタッフ達。そういう先人の拘りがあって今の便利さがあるのですよね。まあ、このあたりは「プロジェクトX」的な世界ですけど。
映画を見ながら、どのあたりがアカデミー会員様達に嫌われたのか考えていました。レオの演技はゴールデングローブ賞を受賞するだけあり文句なしの素晴らしいものです。オスカーを逃したとしたら「やっかみ」も含まれているのかも。やっかむのも分かります。全編が「レオレオレオ、レオ祭り」・・・。今時よく多額の製作費と一流スタッフを使って、主役レオ様&脇役達という映画が作れたなぁと思うほどです。あれだけ銀幕で一人芝居が出来たら役者冥利に尽きるでしょう。しかし、そのせいで話が単純になってしまっていた感も否めません。あれがもう少しライバル会社との攻防、その裏に動いていた政治家、裏方の裏切り・・などが描かれていたら話が違っていたかもと思いますね。そうなるとただのサスペンスになりかねない危険もありますが、まあ、アカデミー会員様受けではあるんじゃないかな?
助演女優賞を受賞したケイト・ブランシェットは思ったほど登場シーンがなく、そこまで印象的でもありませんでした。高名な女優をそっくりに演じたのはすごいけれど、それだけに表現にも制限がつく訳だから、この役でオスカーを取ってしまったのは本人にとっても不本意なのでは?かつてもっと評価されてしかるべき演技をしてきた女優だと思うんですよね。
それからジュード・ロウ。予告編に名前が出てくるからどんな役かと期待してましたが、ほんの2,3言喋るだけの通行人程度の扱いでした。もー、楽しみにしてたのに!