個人練習

都内某所のスタジオに行く。1時間1300円。短いのかもしれないけど、私は1時間以上ぶっ通しで歌うと声が涸れてしまうので丁度いいんです。
発声開始、3種類くらいのパターンで上行形で練習。今日はハイCが普通に出た。私はあまり高い声が出ないので、ハイCが出たらラッキーデー。

メフィストーフェレの「いつかの夜、暗い海に」ではアジリタ(装飾的な旋律)が出てくるので、同じ音形でリズムを変えたりしてひたすら練習。むっ、難し〜!!
アジリタの部分の締めくくりは長いトリルで、これまた難し〜〜!!
テバルディは長いトリルから自然にど迫力のビブラートに移って行くのに、こんなの真似出来ないよ・・・・(涙)

ところで、ボーイトの「メフィストーフェレ」は「ファウスト」を下敷きにしたオペラです(メフィストーフェレとは「ファウスト」に出てくる悪魔です。ボーイトのオペラでは悪魔が主役なのね)。「ファウスト」って読んだことないのですが(コラ)、結構クラシック音楽でテーマにされてるものなんですよね。リストの「メフィスト・ワルツ」とかね。
ヨーロッパの文化において、聖書・ギリシャローマ神話はネタの宝庫で、知らない者にとってはツボが分からず「は?何が面白いの?」ということになってしまいます。ファウスト」は文豪ゲーテの詩なんだけど、これも伝説といわれるくらいですから、ヨーロッパではメジャーな話なんでしょう。これを知っておくとヨーロッパの音楽や絵画など、かなり楽しみが広がるかも。ま、「ファウスト」ちゃんと読むのは後にするとして・・・(^^;)
オペラガイドによると、ファウスト博士が悪魔メフィストーフェレから魂と引き換えに若さを手に入れる話とか。でもって、村娘マルゲリータは若きファウストにたらしこまれ、子供ができてしまい、悪魔にそそのかされたマルゲリータは子供を殺してしまう・・なんて可哀想な話!!!
この頃ヨーロッパでは、結婚前に妊娠した女性は教会から罰を受けました。「カヴァレリア・ルスティカーナ」のヒロイン、サントゥッツァもマリア被昇天祭で町中がお祝いムードの中、その輪に入れてもらうことも教会に行くことも許されず、自宅謹慎の身でした。これは本当におかしな話です。婚前妊娠が罪ならば相手の男性にも同様な罪があるはずですよね。「メフィストーフェレ」のマルゲリータは子殺しだけでなくて更に母親殺しの罪の為、牢獄にいるシチュエーション。精神はズタボロで、気が狂う一歩手前です。

いつかの夜、暗い海の底に私の子は投げ込まれた・・
今、私の気を狂わさんがために、私があの子を沈めたと皆が言う
§辺りは寒く牢は暗い 私の絶望した魂は森の雀のごとく、飛んで、飛んで行く!
 ああ、どうか私をお救いください!
母はとても長い眠りにつかされている・・
私を恐怖で一杯にするために、私が母に毒を盛ったと皆が言う
§繰り返し

まったく救いのない歌・・・。でもこんな可哀想な女性は、いっぱいいたんだろうなぁ・・・うまく歌えるよう頑張ろう。

話は変わるけれど、ベストキッドのラルフ・マッチョ主演の「クロスロード」という映画があります。ブルース・ギターの道を究めるにはクロスロードという十字路に立って、悪魔に魂を売らないと最上級のテクが手に入らないのだとか。ラルフ・マッチョは悪魔に魂を売ったギタリストに、ジュリアード仕込のバリバリのクラシックギターで応戦し、見事勝ちます。面白い映画です。何かまた見たくなっちゃったな・・・